島で一番古いとされている家です。
この大里家にはこんな話が伝わっています。
昔、大里家にシマリバー(女性)とアカツミー(男性)という2人が住んでいました。
ある日、アカツミーがイシキハマで漁をしていたところ、沖のほうから白い壷(一説には金色)が流れてきました。彼は拾おうとしましたが、沖に流されて上手く取れません。
そこで家に帰りシマリバーに話した所、まずはヤグルガーで身を清め、白い着物を着て行けば簡単に取れるだろうと教えてくれました。
彼はその通りにして改めてイシキハマに行ったところ、壷は難なくアカツミーの白衣の袖に入り取る事ができました。その壷を開けてみると、麦、粟、アラカ、小豆の種が入っていて、その中から麦と粟の種をハタスという所に植えて、その壷もそこに埋めました。
麦と粟は、ここから島中に広まり、沖縄全体にも広められたのです。
五穀の神様となったアカツミーとシマリバーは、ここに祀られています。
そして、この家を舞台にしたこのような話も伝えられています。
琉球王朝第一尚氏最後の17代尚徳王がこの家の美しい神女クニチャサと恋仲になり、政治を省みず久高島にいる間に城内で反乱が起きて王位を退けられてしまい、絶望した王は帰途の船から海に飛び込んで、自らの命を絶ってしまいました。
クニチャサもこれを聞き悲しみにくれ、この家の前にあるガジュマルの木で首を吊って死んでしまいました。
この話に出てくるクニチャサは、この家の生まれだったそうです。
このようにいろいろな話の伝わっている旧家で現在は住んでいる人はいないのですが、御嶽所として島の方々が綺麗に整備してありました。